名簿の問題解決

むしろ形になるものが続くのは苦しい。 自分を職人として位置づけて、こうすればできる、このやり方なら大丈夫だというベーシックな技術を確立しておくと、絶対的な自信になる。
より大きな仕事の下地になる。 考えずにできる職人的部分が大きいほど、脳のスペースが空き、クリエイティプなことに使えるようになるのだ。
Iは、ある本でこんなことを言っていた。 曲をつくるのはものすごくクリエイティブな作業のように思われているが、「襖職人」のような感覚に近いという。
「基本的には襖張りと同じです」という言葉が印象的だった。 もちろん現実に曲や詞をつくるにあたっては遅々として進まないときもあるし、才能も必要だろう。
納期になれば、パパッと襖を張り、「一丁上がり」と次々仕事を仕上げていくような感覚なのかもしれない。 どんな創造性を要する仕事においても同じだろう。

機械的にできる部分が増えれば増えるほど、次の状況を予測する余裕が生まれ、よりアグレッシブな脳の使い方ができる。 個々の技術に対していちいち神経を使っている状態だと、大きな先を読む力が奪われる。
職人的な基礎力があってこそ、自由に羽ばたけるのだ。 ちょっとしたことでも「OO職人」と名づけるのは、仕事を面白くするコツだ。
どんな仕事も、職人化してしまうと楽しくなってくる。 たとえば、私はよく「コピー職人」や「ビデオ職人」になっている。
コピー取りなんてつまらないと思うかもしれないが、教員になると、コピーというのは教材をつくる上で欠かせない仕事だ。 資料を縮小コピーし、編集して切って貼りつけ、本の十ページ分がうまくB4一枚に収まったりすると、「さすが職人」と、自慢に感じたりする。
同じく、教材にするビデオも、職人のように労を惜しまずこまめにとり、十分とか十五分の長さにぽつぽつとまとめなくてはならない。 そういうプリントなりビデオ教材がないと、授業が盛り上がらないのだ。

コピー職人でありビデオ職人であるという職人性抜きにつまり、大学教授といっても、は仕事ができない。 Iのシンガーソングライターというような、端から見ると天から降ってきたインスピレーションでやっているように見える仕事でも、職人的な側面なしには成り立たないのだ。
私は『声に出して読みたい日本語』をすでに一冊出し、いま四冊目に取りかかっている。 それこそ私は「声に出して職人」という心構えでやっている。

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